まず考えてください。問題の解答を思い浮かべたら下へ。
簡単に今回のまとめ
① GVHDは自己免疫疾患ではない
② 悪性貧血は自己免疫疾患
③ 遺伝と自己免疫疾患は別物
④アレルギー≠自己免疫疾患
⑤自己免疫疾患でもステロイドを使用しない場合がある
自己免疫疾患についての問題。解けますか。これアレルギーなの??ってものもあるかも。
まずa。Plummer-Vinson症候群。まず貧血が思い浮かぶでしょう。何貧血ですか?
→鉄欠乏性貧血です。
原因は、①胃の全摘による鉄分の吸収不良 ②月経過多、消化管出血による鉄分の喪失など。
分類としては小球性低色素性貧血です。MCV、MCHCともに減少します。
臨床症状として覚えておかなければいけないのは、スプーンネイル、口角炎、食道粘膜萎縮による嚥下障害です。
その後、前癌状態であるPlummer-Vinson症候群に移行します。
つまりPlummer-Vinson症候群の原因は上記にある通りなので、自己免疫疾患ではありません。なのでaはバツ。
dはどうでしょうか。GVHD。1番難しい選択肢でしょう。
graft versus host diseaseの略で移植片対宿主病のことです。
移植手術をしたときに臓器を提供した人の中の免疫担当細胞(T細胞)が宿主の組織適合抗原を認識して宿主の臓器を傷害します。
これは一見1番自己免疫疾患に見えますが、違います。原因は移植手術です。それによって、自己免疫疾患に類似した症状を認めるだけです。(皮膚紅斑、扁平苔癬様口腔内、二次的口腔癌など。)
自己免疫疾患は、自身のT細胞が自身の正常細胞を攻撃します。一方GVHDは移植された細胞が宿主の正常細胞を攻撃します。そこの違いを抑えてください。GVHDの機序は、自身のT細胞ではありません。よってdもバツ。
続いてeのvon Willebrand病。
遺伝と自己免疫疾患は違う!と頭に入れて置いてください。
von Willebrandは凝固因子の異常です。(他には血友病がありましたね)
原因はvWfの先天的欠乏、常染色体有性遺伝です。血小板の粘着能が障害されることで一次血栓、二次血栓どちらも形成が不十分になります。
凝固因子の検査ではvWfの抗原量や機能を調べることももちろんですが、第8因子の濃度も調べることを覚えておいてください。
よってeは自己免疫反応ではなく遺伝によるものなので間違い。
a、d、eの選択肢が消えたので答えはb,cと言うことになりますが、1つずつみていきましょう。
bのバセドウ病です。国試では「バセドウ」ではなく「Basedow」と書かれます。
バセドウ病はV型アレルギーです。2型アレルギーに類似し、自己抗体がホルモンレセプターに結合し刺激することでホルモンの分泌異常が起こります。
具体的には甲状腺表面のTSH(甲状腺刺激ホルモン)レセプターに自己抗体が結合刺激することでバセドウ病が発病します。
バセドウ病の他に重症筋無力症なども自己免疫疾患なので覚えておきましょう。
最後はcの悪性貧血。貧血で自己免疫疾患?と迷ったかも。
悪性貧血は自己免疫疾患による萎縮性胃炎が原因です。
それが原因で胃粘膜の壁細胞が減少し、内因子分泌低下・欠如が起こります。その結果、回腸の粘膜でビタミンB12の吸収障害が起き、体内のビタミンB12が枯渇することによって起きる貧血です。
悪性貧血ではHunter舌炎が起きます。Hunter舌炎は平滑舌であり、疼痛を伴うことを覚えましょう。
また治療薬としてビタミンB12の筋肉注射、静脈、皮下注射が行われます。メインは筋肉注射。
自己免疫疾患であるけれど、ステロイドは使用されないことも覚えてください。とても重要です。
よって悪性貧血も自己免疫疾患。答えばbとcでした。
おつかれさまでした、今回はこれで終わりです。