ヤマかけ歯科医師国家試験

ヤマかけだけでストレート国試合格を果たした現役歯科医師が運営するブログです。

【部分床】114C84 磁性アタッチメントの構造と目的

ラインからの質問返信です。114C84がわかりません。

 

今回の問題はこれです。磁性アタッチメントで義歯を作る際の各構造の働きがわかりますか?という問題。

根面板は支台歯についていて、FMCみたいなやつ。

とは言っても咬合面は真っ平らです。

磁性アタッチメントの問題で、磁石とレジンの複合体が出てきたらそれは「レジンハウジング」です。

ちなみに、磁性アタッチメントは自費です。やる人あまりいないと思います。でもテストには出ます。

問題のポイントは以下です。

 

・レジンハウジングは、支台歯側ではなく義歯側につける
・磁石構造体は義歯側につける
・レジンハウジングで磁石を埋め込む理由は、根面板と磁石の位置を正確にするため

 

模型に金属の支台歯みたいなのがくっついています。これが根面板。

問題文からわかるように、キーパー付き根面板です。

次に、プラスチックに金属がついています。

この面とこの面がくっついて、磁石の力を利用した義歯が出来上がるわけです。

普通に考えたら、義歯にそのまま「ここだな〜」って部分に磁石を埋め込んで、

磁石入り義歯を作って支台歯の根面板に適合させればいいじゃん!と思うわけです。

でもこれはあまりにも正確じゃなさすぎるんですね。

磁石というのはピッタリくっついていないと最大の磁力を発揮できません。

例えば、根面板の水平度合いと、義歯につく磁石の水平度合いは一致していなければいけません。経験あると思いますが、磁石を外す時、少しずらすとすぐ取れますよね。それと同じです。

また、位置ズレもダメです。

磁石と金属は、くっつく位置をそのまま再現して義歯に埋め込まなければいけません。

そのズレを極力生まないために作るのがレジンハウジングです。

磁石と根面板をつけて、磁石の上にレジンを盛ります。

磁性アタッチメントの義歯を作る際、基本的に直接法で行います。

想像してみてください。

チェアサイドで、患者さんに根面板を取り付けて、磁石を用意し、義歯に磁石を埋め込むだけのスペースを確保するようにレジンを削り、取り付けた根面板の上に磁石を置く。

義歯をはめ込みその位置で動かないようにレジンを盛る。

ここのレジンの盛りが非常に大変です。

磁石と根面板の中にレジンが入り込んでしまうかもしれないし、レジンが固まるまで磁石が動いてしまも容易に想像できます。

だからレジンと磁石を一体型にするレジンハウジングを制作することによってエラーを少なくするわけです。

つまり、

磁石に合わせて義歯の位置を決めている」ことになります。

ここで問題を見てみます。

問題の矢印はレジンハウジングを指しています。

もう簡単ですね。eの磁石構造体が変位するのを防止するためです。

aの根面板の合着。

これは支台歯のお話。根面板は普通に支台歯にセメントで合着します。FMCとやり方は同じ。

bの側方力の軽減。

根面板の高さを低くすれば側方力は減少しますが、これもレジンハウジングのお話ではないのでバツ

Cの緩圧効果の向上。

緩圧効果とは、支台歯にかかる圧力を緩め、顎堤粘膜に負担を求めることで支台歯負担を軽減することを言います。

レジンハウジングにその機能はないのでバツ

dの義歯床の破折防止。

レジンハウジングにその働きはありません。

破折を防止したいなら、ポリカーボネート床(ノンクラスプデンチャー製作時の材料です)や、フレームをメタルにして折れないようにします。

よってレジンハウジングの働きは

eの「磁石構造体の変位防止」でした。

まだまだ磁性アタッチメントについて覚えることはあります。

次の記事にテストによく出るところを書いてあるので見てください。