ヤマかけ歯科医師国家試験

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【部分床】よく出る磁性アタッチメントの覚えるところ

先ほどの記事の続きです。

磁性アタッチメントは国試作成委員にも研究している人が入っていたはずです。

覚えれば簡単なので落とせないところです。



覚えるべきなのは、

①構造 ②特徴 ③製作手順 

の3つ。

 

①磁石は2種類。その元素を覚える。キーパーの付け方が国試に出る。

②磁力はなんの力?→「維持力」(❌支持、把持)

③製作手順で出題されるのは「レジンハウジング」を用いた製作

 

①構造

そもそも磁性アタッチメントは、「磁力で義歯を外れにくくしましょうね」、という義歯のこと。それに加えて、「お年寄りの人、手がうまく動かない人」のための義歯であることも覚えておきましょう。

義歯には着脱方向がありましたね。実習などでも、患者さんの義歯を外そうとしてもなかなか取れにくかった経験をした人も少なくないでしょう。

義歯は意外と外しずらい」んですね。手の麻痺した患者さんが入れ歯を外すのに苦労してしまいます。だから磁性アタッチメントを使用します。

磁力であれば、外す方向が自由です。ちょいとずらせば義歯が取れます。

つまり「指向性(外す方向)が無く、巧緻性の低い患者に有利」です。

磁石でカチャっとはめて外すことができる便利なやつです。

また、磁力は減衰しないので長期使用しても性能が劣化しません。

テストに出る構造のポイントは以下の通り。

⑴磁石の元素→ネオジム磁石ならNd,Fe,B サマリウム・コバルト磁石ならSm,Co
⑵キーパーの装着には、鋳接するよりも「セメントで接着」する方が良い。

 

磁石の元素記号がテストに出ます。

この5つ(Nd、Fe、B、Sm、Co)を覚えておきましょう。

また、磁石構造体は口腔内に設置されるのではなく、「義歯に取り付けるもの」なので注意です。

続いてキーパー。

キーパーとは、根面板の上に取り付けられる構造のことで「磁石とくっつく部分」です。

つまり根面板をつけただけではだめで、キーパーを取り付けなければならないということです。「根面板は磁石とは接しない」と覚えましょう。

キーパーは実際に磁石と接する場所なので重要です。

根面板の上にキーパーを取り付けるわけですが、その取り付け方には2種類あります。

1つは、「鋳接法」と言います。

根面板のワックスアップを行って、そのワックスパターンの中に実際の磁石を埋め込みます。それをそのまま鋳造してしまいます。

つまり鋳造の時にワックスが溶けて金属が流れ込んで、

根面板とキーパーが一塊となる」んですね。

ということは、キーパーは、一緒に鋳造されに炉の中に入るわけですからとてつもなく高温の状態にさらされます。

高温にさらされたキーパーはどうなるでしょうか。

キーパーは、磁性ステンレスという金属なので、金属が高温になれば「酸化膜」を形成します。

また、根面板を鋳造したら、当たり前に鋳造収縮を起こします。

その勢いでキーパーがズレます。

前の記事でも話したように、キーパーがズレてはいけません。

鋳造して接着する鋳接法では、変形や酸化膜形成といったデメリットが存在するんですね。

だからあまり好まれません。

一応対策として、キーパーの上面を平らに研磨することである程度回復します。

次に「KB法」という方法。

キーパーボンディングの略です。

これは簡単で、根面板のワックスアップ時にキーパーが入る部分のスペースを開けておきます。(キーパートレーというものを用います。)

それを鋳造したにキーパーをセメントで取り付けます。

すると、「酸化膜が形成されず、変形も生じない」ものが出来上がります。

このセメントは「レジンセメント」です。覚えておきましょう。

特にキーパーボンディング法(KB法)が国試に出題されやすいです。

 

②特徴

磁性アタッチメントで覚えるポイントは以下の通り。

 

⑴キーパーよりも大きな磁石を使ってはいけない
⑵義歯から支台歯への側方力は弱いため、支台歯が保護できる
⑶垂直方向への離脱時に磁力は最大限効果を発揮する

 

磁石が効果を示すのは、側方の力ではなく垂直方向への力です。

なので義歯を真上に取ろうとしてもなかなか取れません。

また、大事なのが、「磁石とキーパーは同じ幅にする」ということ。

磁石は「閉磁路」というものが存在します。

冷蔵庫に磁石を貼り付けても普通にくっつきますが、

磁石を冷蔵庫からはみ出るように端っこにつけると、磁力が急激に低下して剥がれ落ちてしまいます。

これは閉磁路が崩れるから。

「磁石の面は必ず全て覆わなければいけない」と覚えても良いです。

 

③製作方法

前の記事でも書きましたが、簡単におさらいしておきましょう。

大事なポイントは以下の通り。

⑴根面板は、顎堤と平行ではなく、「咬合面」に平行にする。
⑵ハウジングを行うときは模型上で「荷重をかけた状態」で硬化させる。

 

よく問題で出ますが、

「根面板は、顎堤と平行に設置する」

これはバツです。咬合面と並行に設置してください。

ハウジングとは"housing"と書きます。

つまり囲い込むってことです。

基本的に、義歯床と磁石構造体の固定は「口腔内で直接」行います。

直接法で行うということは、エラーが起きやすいとわかるはずです。

このエラーを起こさないために模型上でハウジングを製作します。

ハウジングを製作したら、義歯上のハウジング相当部分をガッツリと削ります。

それでハウジングが義歯に入るスペースを確保します。

前記事でも載せましたが、

「磁石に合わせて義歯の位置を決めている」と考えてもらって良いです。

磁性アタッチメントで重要なのは磁力です。この磁力を最大限発揮させるため

磁石の位置を基準として義歯の位置決めを行い、固定しています。

ハウジング=ずれないようにする

ことを覚えておいてください。

 

長々と話しましたが、国試に出やすいポイントでした。