今回は浮腫です。解けますか、溶けますか。
大体わかったつもりで突っ込んで間違えるのが浮腫です。おさらいしましょう。
浮腫は「間質液の量が増加した状態」のことです。つまり、むくみ。
血管とその外をイメージしてください。
こんな簡単な感じで大丈夫です。人間の体は緑の道順に体液が移動していきます。
血管と間質は交通しています。
血管と間質の濃度差によって、どちらかに体液が移動してしまいます。特に間質に移動してしまった時のことを浮腫と言うんですね。
血管透過性が亢進した場合は、血管の穴が開くイメージ。間質に組織液が移動しやすいですね。だから浮腫が起こる。これは簡単にわかるでしょう。つまりcは間違い。
bのリンパ管拡張はどうでしょうか。
動脈血が毛細血管を通り、静脈やリンパ系へと流れていくわけですが、その途中の道のりで間質へ液が移動すると浮腫が起こります。
リンパ管が閉塞した場合、動脈から静脈・リンパ系まで移動する道のりで、ゴールが閉塞してしまうわけです。移動していた液は滞留し、だんだんと間質へ圧力で流れて行ってしまいます。だからリンパ管が閉塞すると浮腫が起こるわけです。
bはリンパ管拡張していますから浮腫は起こりません、なのでバツです。
dの毛細血管内圧の低下は明らかバツです。上の図を見たらわかるように、毛細血管の圧力が増加したら浮腫が起きます。
eが難しいところ。血漿膠質浸透圧とはタンパク質による水を血管内に保とうとするチカラのことです。
タンパク質には水を保つチカラがあることを覚えておきましょう。
血漿膠質浸透圧とは、血管内に水を保つチカラ。
組織液膠質浸透圧とは、間質内に水を保つチカラ。
つまり、血漿膠質浸透圧が高ければ血管内に水分をとどめてくれて、間質に液が移動しないので浮腫は起こりません。
一方で組織液膠質浸透圧が高ければ、間質に水分をとどめやすくなるということなので浮腫はバンバン起こります。
選択肢eは血漿膠質浸透圧が増加、なので浮腫は起こりません。バツ。
ここまででb,c,d,eの選択肢は消えました。なので答えはaです。
なのでと言われても、ナトリウムイオンが貯留すると浮腫が起こるのかわからないですね。
よく、塩分の取りすぎはむくみの原因だからやめなさい!と耳にしたことがあるかもしれません。それで選択肢が選べるのでOKです。
もう少し詳しく言えば、塩分が摂取され、体内に貯留されると、血中のNaイオン濃度が上昇します。その濃度を緩和しようと人間の身体の中では恒常性が働き、水分を間質液に溜めます。これが浮腫の原因です。
類題解いてみましょう。
解答は少し下に載せます。